からすとパンやさん事件

カラスは賢い。

上空から粛々と人間の餌を狙う。

自宅から少し離れた場所にパン屋さんを見つけた。

割と新しいお店のようである。

連日、お客さんで列をつくる。

「美味しいのかな?」ふと興味が湧いた私は入店。

なんだか食べたくなってきた。

そして、数少なくなったパンの中から3つほど購入。

その日は買い物のつもりで出かけたのではなく、運動のために1時間くらい歩いていた。

お金以外の所持品はない。

当然、マイバッグなど持っていない。

会計時に「袋は有料ですがいかがなさいますか?」と聞かれる。

袋にお金をかけるのは気が引け、そのまま持って帰ることにした。

食パンはビニール袋。その他の惣菜パンは紙袋に小分けにして入れてくれた。

袋に入っているから、まあ、手で持っていけば良い。

そんな、甘っちょろい思考でお店を出た。

しばらくすると、上空にはカラスの鳴き声。

激しく鳴いている。

一体、何羽いるのだろう。

そして、何を話しているだろう。

歩いても歩いても上空で鳴いている。

もしかしなくても、このパンが狙われている。。。!

このまま自宅までカラスの目を欺き持って帰れるわけがない。

きっと、どこかで襲われてパンを食べられてしまう。

「カーカーカーカー」

冷や汗が流れる。

とにかく隠そう、上着の中にパンを忍ばせ帰ることに。

ただの変質者である。

幸運なことにパンは守られた。

ありがとう上着。

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